URADOどんぐりかいぎ


■イベント結果■

日本産コナラ節4 種の遺伝的多様性
○大山幹成・菅野宗武・鈴木三男(東北大学植物園)
 樹木の自然集団中には、種の分化過程や過去の分布変遷などについての情報が保持されていると考え られる。遺伝的多様性は、集団が長く存在しえた地域では高く、新たに形成された集団ではこれが低く なる傾向にある。つまり、遺伝的多様性を調べる事により、氷河期におけるレフュジアの位置、レフュ ジアから分布拡大の方向を推測する事ができる。コナラ属Quercus には、北半球の温帯林を代表する樹 種が多く含まれている。日本においてもコナラ節(section Prinus)4種が自生し、日本の温帯林の主 要な構成樹となっている。本研究では、マイクロサテライト多型を用いて、コナラ節4種の自然集団に おける遺伝的多様性を調べた。
 材料は、コナラ(Quercus serrata)19集団523個体、ミズナラ(Q. mongolica var. crispula) 23集団651個体、モンゴリナラ(Q. mongolica var. mongolica)3集団91個体、カシワ(Q. dentata) 12集団293個体、ナラガシワ(Q. aliena)13集団375個体、合計して4種1変種70集団19 33個体である。マイクロサテライトマーカーは、8遺伝子座を選抜した。これまで、1種あたり14 3~204種類の対立遺伝子を検出した。  コナラでは、観察されたヘテロ接合度(Ho)に地理的なクラインが見られ、西日本の集団で有意に高か った。ナラガシワでは、期待される集団の平均ヘテロ接合度(He)、遺伝子座あたりの対立遺伝子数(A)、 アレリック・リッチネス、レア・アリールの総数において、地理的なクラインが見られ、西日本の集団 で有意に高かった。ミズナラとカシワでは、遺伝的多様性を示す尺度に地理的なクラインは見られなか った。
 古植物学的な研究結果から、ミズナラとカシワは耐寒性があるので、最終氷期最寒冷期(約2万年前) においても西日本に広く分布できたことがわかっている。ミズナラとカシワで遺伝的多様性にクライン が見られないのは、最終氷期最寒冷期においてさえ分布範囲が限定されなかったので、ボトルネック効 果の影響が小さかったためと推測した。一方、コナラとナラガシワは比較的温暖な気候を好むので、最 終氷期最寒冷期においては分布範囲が著しく限定され、太平洋側沿いにわずかに見られる程度であった ことが、古植物学の研究でわかっている。コナラとナラガシワの東日本の集団で遺伝的多様性が低いの は、最終氷期最寒冷期において分布範囲が著しく限定され、レフュジアから分布拡大をする際に大きな ボトルネック効果が働いたためと推測した。 (問 

􀢻􀣚􃢦􀡞􀠽􀡄􀡾􃐿􀰎􂓏􁊕􂐏􀡡􁆀􂌦􂓏􀴲􀾢



■企画準備■

􀡢