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日高自動車道におけるインフラDX・i-Construction先導事務所としての取り組み

第66回(令和4年度)北海道開発技術研究発表会用

目次

日高自動車道におけるインフラDX・i-Construction先導事務所としての取り組みーデータ共有クラウドサービスを用いた3次元地図上での現場共有についてー

日時:2023-02-14(TU) 15:05より10分間

場所:北海道開発局研修センター2F 第二発表会場

発表:室蘭開発建設部 苫小牧道路事務所 第2工務課 ○島田 智也
平澤 舞香
                                   黒川 暁夫

20230216公開


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ご紹介預かりました室蘭開発建設部苫小牧道路事務所の島田智也です。只今より日高自動車道におけるインフラDX・i-Construction先導事務所としての取り組みの発表を始めます。

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目次はご覧の通りです。本日はこのような流れで発表いたします。

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まず導入です。

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日高自動車道でのBIM/CIMデータ作成状況とデータ連携の経緯を説明いたします。
現在、日高自動車道では施工段階でBIM/CIMデータを作成することが多く、起工測量や土木構造物の施工、出来型計測の場面で3次元データの作成が行われています。施工時に作成した3次元データが散逸しないよう管理・共有することが大切であり、求められていきます。

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しかし、かつて日高自動車道の工事ではBIM/CIMデータの蓄積や利活用がうまく行われていないことが問題となっていました。各工事の工期末に受注者から発注者に納品されるBIM/CIMデータの成果物について、自由に閲覧できる対象者が限られていたことなどから、利活用がほとんど進んでいなかったのです。また、納品される成果物の基準が工事によってバラバラであり、BIM/CIMデータがどの場所の情報かを示す“位置情報”や何の構造物であるかを示す“属性情報”が抜けていたために、2次元図面などと比較してデータの情報を確定させる必要がある成果物も多数ありました。
そのため、過年度に作成したデータを使わずに、再度新たなデータを作成する受注者が多くなり、過年度のBIM/CIMデータがうまく利活用されないという課題が浮き彫りになったのです。

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そこで、苫小牧道路事務所では受注者や設計コンサルタントなどを交えながらBIM/CIMに関する勉強会やwebセミナーなどを実施し、関係者の意見を集約しました。■その後、発注者としてコストをあまりかけずにBIM/CIMの取り組みを行う方法を模索し、受注者に対して参考となるBIM/CIMの見本を提供していきつつ、過年度の3次元データをうまく蓄積し、利活用していくことになりました。■
これらの取り組みを実現するため、データ連携を行えるクラウドサービスの活用を決め、そのクラウドサービスとしてCIMPHONY Plusを採用しました。

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続いてCIMPHONY Plusについて説明いたします。

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CIMPHONY Plusとは点群データや3次元モデルといった各種データを管理・共有することのできる、福井コンピュータが提供するクラウドサービスのことです。CIMPHONY Plusを活用すれば、専用ソフトウェアをインストールすることなく、Webブラウザ上で3次元データを閲覧することができます。また、万全なセキュリティが構築されており、安全に活用することが可能です。

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CIMPHONY Plusでは、3次元データだけでなく、図面やPDF、写真や動画といったデータを保存することも可能です。その上、それらのデータが地図上に添付されることから、位置関係が一目で分かります。これにより、データのアクセシビリティが向上し、探したいデータをすぐに見つけることができます。加えて、3次元モデルの部材ごとに表示期間を設定してタイムラインを作成すれば、3次元モデルに時間軸を加えた4次元モデルによる時系列での管理も可能となります。従来は専用のソフトウェアを購入しなければできない機能ですが、CIMPHONY Plusでは追加投資なく行うことができるのです。

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日高自動車道におけるCIMPHONY Plusの活用を説明いたします。

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運用形態です。■
まず、受注コンサルタントが発注者の代行という形でCIMPHONY Plusの契約者となります。■CIMPHONY Plusには3次元データなどのデータを共有するための“現場”という概念が存在しますが、その現場を作成・管理するための権限も受注コンサルタントが持ちます。■発注者や受注者はそれぞれが新規アカウントに登録することで、CIMPHONY Plusの現場に招待される権限を受注コンサルタントから付与され、CIMPHONY Plusの現場が共有されるようになります。■この時、発注者や受注者はCIMPHONY Plusの現場を閲覧するだけでなく、データの登録や編集を行うことも可能です。■
このように発注者が主体となってクラウドサービスを導入し、受注者が共有できる形態としたことで、受注者それぞれがクラウドサービスを導入するよりも、導入するハードルが大幅に下がりました。■また、日高自動車道における運用形態では、受注コンサルタントが「管理者」という立場でデータを管理する仕組みにした点が大きな特徴であり、これによって効率的なデータ管理が実現しました。その詳細事例を説明いたします。

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まず、管理者がデータ容量を削減した事例を2つ紹介いたします。
1つ目は点群データの間引きです。当初の点群データはデータ容量が大きすぎるためにCIMPHONY Plusへアップロードできませんでしたが、管理者が点群の間引きをすることでアップロードできるようになり、Webブラウザ上でも比較的軽く操作ができました。管理者がいることで点群を間引くソフトウェアの導入とオペレーターの人員確保を受注者が行う必要がなくなり、受注者の負担が大幅に軽減されます。
2つ目は動画サイズの調整です。データ量の大きい動画を加工せずに使用すると通信速度に問題が生じましたが、管理者が動画サイズを調整することで動画をスムーズに確認できるようになりました。

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次に、管理者が受注者に対して3次元データの保存方法の統一基準を促した事例を紹介いたします。
こちらに土工区間の3次元データを示しています。先述の通り、この3次元データでは、受注者が面データのみを保存したため、位置情報や属性情報が分からず、2次元図面などと照らし合わせる必要があり、非常に手間がかかります。そのため、データを引き継ぐよりも新たなデータを作成した方が楽だと考える受注者が多く、過年度の3次元データが無駄となり、非効率的になっていました。■
そこで管理者が受注者に対して保存方法の統一基準を促し、面データのみを保存している受注者に対して指示を行うことで、受注者は3次元データの保存方法を変更します。■下の3次元データのように位置情報や属性情報も併せて3次元データを保存することで、データを再利用しての更新作業が簡単になり、新たにデータを作成するよりもデータの引き継いだ方が楽になったことで、利活用が進み、効率的なデータ管理が実現しました。

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CIMPHONY Plusを導入したことで、3次元データの共有が可能になっただけでなく、データの位置情報が分かりやすくなったことでアクセシビリティが向上しました。また、4次元モデルによる時系列でのデータ管理も追加投資なく可能になりました。
さらに、管理者を設けたことでデータ容量の削減が手軽に行えるため、パフォーマンスの向上につながりました。同時にデータ容量の削減を管理者が行うため、受注者の負担が大幅に軽減された上、3次元データを統一基準で運用することも可能になりました。

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維持管理での3次元データ活用に向けて説明いたします。

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BIM/CIMなどの3次元データをはじめとする各種データを維持管理の場面でも活用し、効率的で質の高い維持管理システムを構築していくことと建設業界での働き方改革を実現することはこれからの大きな課題です。しかし、今後維持管理の場面でBIM/CIMデータや点群データの活用が進むと、これまでの工事データも含め、蓄積されるデータが非常に多くなるため、容量が膨大となり、ソフトウェアの動作環境悪化や格納場所の容量不足が生じやすくなります。これにより、データの編集や加工などを通じてデータを削減する機会が増え、作業量は増えることでしょう。一方で建設業界は人手不足が深刻な問題となっています。同時に、1人あたりの作業時間を減らす働き方改革も求められることから、少ない人数で作業を効率的に進めていくことが必要となります。■
即ち、人手は減り、作業量は増えるものの、作業の効率化によって1人あたりの作業時間を減らす必要があるという非常に困難な課題に取り組む必要があるのです。両者を実現させるためにはどうすればよいのでしょうか?

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我々はクラウドサービスを活用して「データをアップロードする人」「データを管理する人」「データを利用する人」と役割分担をすることが得策だと考えます。維持管理での活用では避けられない3次元データの容量削減を管理者が行うようにすれば、維持管理を行う受注者は点検・補修作業とデータのアップロードを中心に行えば良いため、負担が大幅に軽減され、働き方改革の実現につながります。CIMPHONY Plusを活用し管理者を設ける体制とすれば、維持管理の場面でも受注者の負担を増やすことなく効率的なデータ管理が可能となります。 

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結論です。

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クラウドサービスを活用して役割分担を行うことで、3つの効果が生まれました。
1つめは「1人あたりの作業時間の削減」です。■これにより働き方改革が実現します。
2つめは「データの統一基準での管理」です。■これによりデータをあらゆる工事や業務で無駄なく利活用することができます。
3つめは「データ容量の削減」です。■これにより快適な操作とパフォーマンスの向上が見込めます。■
苫小牧道路事務所はインフラDX・i-Construction先導事務所に位置づけられていますが、発注者として新技術を積極的に導入しつつ、人員配置を工夫することで建設業界の働きやすい環境づくりに貢献しています。万全のセキュリティと高いアクセシビリティが備わったCIMPHONY Plusを活用したデータ連携を推進し、工事や業務の安全で効率的なデータ管理にこれからも取り組んで参ります。
以上です。ご清聴ありがとうございました。
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