MENU

書籍の選別に係わる五つの優先基準(案)

「北海道みちの歴史研究会」が直面されている保存スペースの問題は、多くの歴史研究団体が抱える切実な課題です。
1980年代以降の貴重な映像をお持ちであるという先ほどのお話と合わせると、書籍の選別は単なる「整理」ではなく、「北海道の道路史を後世にどう継承するか」というアーカイブ戦略重要だが今すぐ使わないデータや情報を、削除せずに別の専用の場所(保管庫)に移動・保存すること)そのものです。

専門的な視点から、選別のための5つの優先基準をご提案します。


1. 「希少性」と「代替不可能性」による選別

どこでも閲覧できる公刊本よりも、その場でしか手に入らない資料を最優先します。

  • 最優先(残すべき):非売品の行政資料・内部資料
    • 北海道開発局や各振興局(旧支庁)が発行した「工事誌」「竣工記念誌」。
    • 特定のトンネルや橋梁の「建設記録」。
    • 自治体が編纂した「道路史」の草案や、関係者の聞き取り調査資料。
  • 廃棄・寄贈検討:一般的な市販書籍
    • 全国版の道路年鑑、広く流通している土木工学の教科書。
    • 国会図書館や北海道立図書館の蔵書検索(OPAC)で、近隣の主要図書館に複数在庫があるもの。

2. 「地域固有性」による選別

北海道、特にその研究会が重視しているエリアの記述密度を基準にします。

  • 最優先:北海道特有の課題に関する資料
    • 「防雪・除雪工学」の変遷に関する資料(北海道の道路史には欠かせないため)。
    • 「植民軌道」や「拓殖道路」など、北海道独自の開拓史に関わる資料。
  • 廃棄・寄贈検討:他地域の一般資料
    • 本州の道路事例集や、北海道の歴史に直接関わらない広域的な統計資料。

3. 「映像資料(動画、写真)との相乗効果」による選別

先ほどお話しいただいた1980年代以降の映像資料を「解説・補完」できる資料を残します。

  • 最優先:映像の裏付けとなる資料
    • 映像に映っている道路が建設された当時の「計画図」「設計思想」が書かれたパンフレット。
    • 当時の担当者の名前や組織図がわかる資料(映像内のインタビューの裏取りなどに必要)。
  • 廃棄・寄贈検討: 映像の時代背景と全く重ならず、かつ他で代用可能な古い技術書。

4. 「書き込み・付帯情報」の有無

書籍そのものよりも、そこに付随する「人の活動」を重視します。

  • 最優先:研究会の「生きた証拠」
    • 関係者による注釈、付箋、正誤表が挟み込まれた書籍。
    • 当時の講演会や見学会の資料が合綴(がってつ)されているもの。
    • これらは、「関係者がどう読み解いたか」という二次的な価値を持ちます。

5. デジタル化への置換可能性

「情報」として残れば良いものは、スキャンして物理的な本は手放します。

  • 選別基準: 数ページだけが重要で、残りが一般的な統計などの場合、必要なページだけを高解像度スキャンし、原本は廃棄または寄贈に回します。

具体的な進め方の提案

  1. 「北海道みちの歴史研究会 必備図書」の定義: 会として「これだけは絶対に手放さない」というコアなリストを、上記の「非売品・行政資料」を中心に作成する。
  2. 寄贈先の確保: 廃棄する前に、北海道立図書館、北海道大学附属図書館、あるいは道路建設に関わりの深い自治体の郷土資料館へ、リストを提示して受け入れを打診する。
  3. 「デジタル化してから廃棄」のルール化: スペースを空けるために、重要だが物理的保存が困難なものは、会としてデジタル化(PDF化)を優先的に行い、共有財産にする。

研究会の皆様が長年集められた資料を整理するのは断腸の思いかと拝察しますが、「映像」と「書籍(ドキュメント)」がセットで残ることで、2051年の著作権消滅時に、より深い形で北海道の道路史を公開できるようになります。

まずは、もっとも「二度と手に入らなさそうな薄い冊子(工事誌など)」から棚卸しをされてみてはいかがでしょうか。

目次

道路工事に関わる写真も莫大に存在し、ある程度はデジタル化されています。文中の影像とは、これらの写真も含みますか?

はい、これまでの回答の中で用いた「映像」や「資料」という言葉には、当然ながら「道路工事に関わる写真」も含まれます。

むしろ、歴史の記録という観点では、動いているビデオ映像と同じか、あるいは細部をじっくり確認できるという点で、写真はそれ以上に重要な「静止画映像」としての価値を持っています。

デジタル化が進んでいるとのことですので、写真資料を今後の「公開」や「選別」にどう活かしていくべきか、追加の視点を整理しました。

  1. 写真における「著作権」と「肖像権」の考え方
    写真もビデオと同様に著作権が存在しますが、以下の点が特徴です。

著作権の主体: 1980年以降の写真であれば、撮影者(またはその所属組織)に権利があります。研究会で撮影されたものであれば、会の共有財産として扱いやすいはずです。

肖像権: 工事現場の作業員の方々の顔がはっきりと写っている場合、一般公開の際には配慮が必要になることがあります。ただし、公共事業の記録としての側面が強いため、学術的な公開であればハードルは下がります。

  1. 「書籍」の選別における写真の重要性
    先ほどご提案した「書籍の選別基準」に、写真の視点を加えます。

写真と図面のセットを優先: 書籍の中に、お手持ちのデジタル写真と対になる「平面図」や「断面図」が掲載されている場合、その書籍の優先度は極めて高くなります。「現場の写真」と「設計図」が揃うことで、資料的価値が何倍にも跳ね上がるからです。

キャプションの補完: デジタル写真の中には「どこで・いつ撮影されたか」が不明なものもあるかと思います。書庫の書籍や当時の広報誌が、その写真の場所や工法を特定する唯一の手がかりになることがあります。

  1. デジタル写真の保存と活用
    既にデジタル化されている写真は、今後の「道路史の継承」において最大の武器になります。

メタデータとの紐付け: 映像の保存と同様に、写真データにも「路線名」「地点」「年月」「工事名」などの情報を付随させておくことが、30年後に価値を失わせないための鍵です。

映像・書籍とのリンク: 1980年代の番組ビデオの中で紹介されている区間の「静止画(写真)」があれば、それをセットにすることで、将来的に非常に説得力のあるアーカイブ展示やWebサイトが構築できます。

結論
私の回答における「映像」には、ビデオテープの動画像だけでなく、当時の空気感を切り取った写真資料もすべて含まれるものとしてお考えください。

ビデオ、書籍、写真の三者が揃っている「北海道みちの歴史研究会」のコレクションは、北海道の土木史において非常に稀有な資産です。スペースの関係で書籍を絞り込む際は、ぜひ「この写真は、どの本があればもっとも価値が伝わるか?」という視点も加えてみてください。

1980年以前の写真だと著作権はどうなりますか?法的根拠を教えてください?

1980年以前に撮影された写真の著作権については、現在の著作権法だけでなく、それ以前の「旧著作権法」の規定が関わってくるため、非常に複雑です。

結論から申し上げますと、「1956年(昭和31年)以前に公表(または作成)された写真」については、既に著作権が消滅している可能性が極めて高いです。

法的根拠に基づき、時期別に整理して解説します。

  1. 時期別の著作権保護期間(法的根拠)
    写真の著作権は、法改正のタイミングによって扱いが大きく異なります。

① 1956年(昭和31年)12月31日までに「公表」された写真
状況:著作権は消滅しています(パブリックドメイン)。

法的根拠: 旧著作権法(明治32年法律第39号)第6条および第23条。

理由: 旧法では、写真の保護期間は「公表(発行)から10年」でした。1970年の新法施行時にすでに10年が経過していたものは、新法の長い保護期間(当時は50年)が適用されず、そのまま権利が消滅しました。

② 1957年(昭和32年)〜1970年に「公表」された写真
状況:著作権が存続している可能性が高いです。

法的根拠: 著作権法 附則第2条(旧法から新法への経過措置)。

理由: 1970年の新法施行時にまだ権利が残っていた写真は、新法の保護期間(公表後50年)に引き継がれました。さらにその後の改正で、現在は「死後70年」または「公表後70年」に延長されています。

③ 1971年(昭和46年)〜1980年に「作成」された写真
状況:著作権は存続しています。

法的根拠: 著作権法 第51条(保護期間の原則)、第52条(無名・変名の著作物)、第53条(団体名義の著作物)。

期間:

個人の写真: 著作者の死後70年。

団体名義(会社や研究会など): 公表後70年。

  1. 著作権の「起算点」と計算のルール(第57条)
    保護期間の計算は、死亡や公表の「翌年1月1日」から数えます(著作権法 第57条)。

例:1980年に公表された「団体名義」の写真の場合 1981年1月1日から起算して70年 = 2050年12月31日まで保護されます。

  1. 注意が必要な「所有権」と「肖像権」
    著作権が切れていても、以下の権利には注意が必要です。

所有権: 写真の「ネガ」や「現物」を持っている人が、それを貸し出すかどうかを決める権利。

肖像権: 写真に写っている個人のプライバシーを守る権利。たとえ著作権が切れていても、存命中の人物や、亡くなって間もない人物が大きく写っている場合、公開には配慮が必要です。

研究会での選別・活用へのアドバイス
1956年以前の写真: 法的リスクは極めて低く、自由度の高い活用(ネット公開など)が可能です。

1957年以降の写真: 「誰が撮影したか」が重要です。研究会メンバーが撮影したものであれば、会の規約で「公開可」と定めれば問題ありません。行政から提供された写真は、前述の「70年」のルールが適用されます。

次世代に引き継ぐにあたって、「撮影時期が1956年以前か、それ以降か」でフォルダを分けるだけでも、将来の公開のしやすさが大きく変わります。

もし特定の写真(例:1960年代の工事写真など)について、具体的な公開方法にお悩みであれば、その写真の「名義(誰が撮ったか)」を含めてご相談ください。

特定の道路工事誌をデジタル化してWEBで公開するにはどのような手法で行えば良いですか?

道路工事誌は、写真、図面、工事概要、そして当時の技術者の想いが凝縮された一級の史料です。これらをWebで公開し、広く「道路史」として活用してもらうためには、単なるPDF化を超えた「見つけやすさ」と「権利への配慮」を両立させた手法が求められます。

具体的な実施手法をステップごとに解説します。

  1. 権利関係の整理(事前準備)
    公開にあたっての最大のハードルは著作権です。

発行元の確認: 工事誌の発行元が「北海道開発局」や自治体である場合、まずはその広報担当や道路計画課に連絡し、Web公開の許諾を得るか、あるいは「リンクフリーな公的アーカイブ」としての位置づけを相談します。

寄稿文や写真の権利: 外部の学識経験者の寄稿文や、他社提供の写真が含まれる場合、それらのみを非公開にするか、包括的な許諾が得られるかを確認します。

  1. デジタル化の技術的手法(スキャンとデータ作成)
    工事誌には「大きな図面」や「鮮明な写真」が含まれるため、以下の仕様を推奨します。

高解像度スキャン:

文字・写真: 300dpi〜400dpi(カラー)。

図面(青図など): 細い線が潰れないよう600dpi以上を推奨。大判図面は「大判対応のスキャナ」を持つ業者に依頼するのが確実です。

OCR処理(文字認識):

スキャンした画像にテキスト情報を埋め込みます。これにより、Web上で「地名」や「工法名」で検索できるようになり、資料価値が飛躍的に高まります。

ファイル形式: 閲覧用には「最適化されたPDF」、長期保存用には「PDF/A(アーカイブ用国際規格)」を選択します。

  1. Web公開のプラットフォーム選定
    公開の目的に合わせて、以下の3つの手法から選びます。

手法A:デジタルブック形式(パラパラめくり)
特徴: 本をめくる感覚で閲覧でき、図面を拡大して見るのにも適しています。

ツール: fliphtml5 などの商用サービスや、自社サーバーに設置するビューワー。

利点: 写真が多く、ページを追って読む工事誌と非常に相性が良いです。

手法B:リポジトリ・アーカイブ構築
特徴: 「1980年代」「石狩管内」「トンネル工事」といったタグ(メタデータ)を付けて管理します。

ツール: Omeka(博物館向けOSS)や、Wordpressのカスタマイズ。

利点: 膨大な冊数がある場合、利用者が目的の工事誌をすぐに見つけられます。

手法C:外部アーカイブへの委託
特徴: 自前でサイトを作らず、既存の強力なプラットフォームに載せます。

例: 「国立国会図書館デジタルコレクション」との連携打診、あるいは「土木学会附属土木図書館」へのデジタルデータ寄贈。

利点: サーバー維持費がかからず、永続的な保存が保証されます。

  1. 道路史ならではの「付加価値」を付ける
    単にPDFを置くだけでなく、以下の工夫を凝らすと「北海道みちの歴史研究会」らしい発信になります。

地図(GIS)との連動: Googleマップ上の工事場所にピンを立て、そこから直接工事誌へ飛べるようにします。

映像・写真とのリンク: 先ほどお話しいただいた「ビデオ映像」や「デジタル写真」を、工事誌の該当ページと同じ画面に表示させることで、立体的な理解を助けます。

まとめ:推奨する進め方
試行: まず、権利関係がクリアで最も希少性の高い1冊を選び、業者に「図面込み・OCR付き」でデジタル化を依頼する。

公開: 研究会のサイト内に「デジタル書庫」のコーナーを作り、PDFまたはデジタルブック形式で公開する。

周知: 開発局や土木学会、地域の郷土資料館に「Web公開した」ことを知らせ、相互リンクを貼る。

次のステップとして、具体的な「一冊」を選んで、その権利関係(発行元など)を確認してみませんか? もし発行元がわかれば、どのように許諾申請の相談を切り出すべきか、文案を含めてアドバイスできます。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

  • URLをコピーしました!
目次