ID:20220315-706525-11
パネルディスカッション
「インフラDXへの思い!+αカーボンニュートラル」
コーディネイター:室蘭開発建設部 苫小牧道路事務所 道路施工保全官 中山 光広(なかやま みつひろ)
パネラー:
株式会社磯田組 土木部工事課 主任 坂本 昌則 (さかもと まさのり)
株式会社成田工業 工事部 工事次長 妻沼 竜也(つまぬま たつや) 遠隔参加:新篠津村
株式会社高橋建設 工事部 工事課長 本田 幸生 (ほんだ こうせい) 遠隔参加:洞爺湖町
株式会社出口組 インフラDX推進室長 佐々木 宏幸(ささき ひろゆき)遠隔参加:新ひだか町
株式会社玉川組 工事部 維持課 係長 舟見 群章 (ふなみ ともあき)
宮坂建設工業株式会社 ICTソリューション 課長 熊谷大輔(くまがい だいすけ)
大陸建設株式会社 常務取締役 櫻庭 晃(さくらば あきら)遠隔参加:釧路市
▼fig-001「準備」(遠隔のパネラーの方々の分も一応作りました。)
[経過時間 00:00]
【司会 出口組 佐藤】パネルディスカッションはコーディネイターの中山様に進行をお任せいたします。
【中山】それでは、パネルディスカッションを進めて参ります。
私、コーディネイターを務めさせていただきます、苫小牧道路事務所 道路施工保全官 中山 と申します。宜しく御願いします。
時間が押しておりますので、パネラーのご紹介につきましては、皆さん講師を務められた方ですので再度のご紹介は省略させていただきます。
【中山】まず、一部の講習にありました「カーボンニュートラル」の話題から進めます。ただし、最近は「ゼロカーボン」と呼ぶようになっており、最近の北海道通信社の紙面を見ますと、毎日大なり小なり見出しにゼロカーボンを目にします。それだけ注目度の高いものといえます。
そこで、妻沼さんにお聞きしますが、環境家計簿は数年までほぼ全工事で取り組んでいました。それを企業全体に拡大した狙いを伺います?
【成田工業 妻沼(遠隔参加:新篠津村)】(あいさつは無し)まずこの取り組みは、実は帯広の区画線施工を行っている北海道道路整備さんの当時社長であった佐々木さんの講話でカーボンニュートラルの取組を聞き パワポデータを譲り受けたことをきっかけに行ってきました。カーボンニュートラルの取組は企業の責任であると考え、当社でも環境家計簿の取組を行なっておりますが、 環境家計簿は個々の工事それぞれ独立した取組なので、工事期間だけの取組となっており、せっかく良い取り組みを行っていても限定的になっていました。これらの効果を 検証比較し、排出削減の計画性と継続性を持った取組へ進歩できないかと考え企業全体の取組へ拡大することに至りました。
▼fig-002&003
各工事の取組の結果から、より良い取り組みを標準化し企業全体として取り組み、PDCAサイクルにより継続的な企業活動を実現することで、結果として単なるCo2排出削減 に留まらず近年では、遠隔臨場などを活用することによる労働の効率化、労働時間の短縮といった働き方改革へとつながる活動にもなっております。 このような取組では、ありますが興味を持たれましたら、今回のパワポを一般公開させていただきますので、今後のカーボンニュートラルの参考にしていただけると幸いです。
【中山】ゼロカーボンが注目されているなか、非常に良い取り組みです。継続的に実施することと、ホームページなどで一般公開し、企業としてのCSR(この場合説明責任)を果たすことを考えてみてください。レベルが高いことなので発注者に評価されるより一般国民に評価されるされること目標とされてはと思います。
▼fig-004「完全遠隔臨場完成検査のネットワーク図」(出典:磯田組施工計画書より)
【中山】遠隔の話題に移ります。当事務所のインフラDXの取り組みメニューとして遠隔臨場のソリューションの徹底した活用を入れています。
2月10日に完全遠隔臨場の完成検査を成功させた坂本さんにおたずねします。そのあと出口組の佐々木さんの検査で「完全電子化検定箱ゼロ!」の北海道通信社の記事(3/11 5面に掲載 面積=188×106mm=199.3cm2)がありましたが?
▼fig-005「ドローンライブによる出来ばえ確認」
【磯田組 坂本】(あいさつは無し)私のところはアスファルトコアがあったので物理的に不可能だっただけです。通信の記事の面積(2/11 6面に掲載 面積=88×248mm=218.2cm2)は勝ってますから(笑)
【出口組 佐々木室長(遠隔参加:新ひだか町)】(あいさつは無し)なにかしゃべる。(アドリブ5秒)
【中山】遠隔の話題続けます。本年度の苫小牧道路事務所第二工務課担当の日高自動車道の工事は19本ありました。
全工事行う施工効率向上プロジェクトの円滑化会議と設計変更確認会議ですが、このフリップをご覧ください。
▼fig-006「円滑化会議及び設計変更確認会議の実施件数の変化」
円滑化会議での遠隔ソリューションの活用工事は1本だったものが、設計変更確認会議においては19本、100%活用となりました。
これだけの変化は、坂本さんは予想してましたか? また、坂本さん自身の一年間でどんな変化があったか心情も含めてお聞きします。
【磯田組 坂本】5割程度の活用予測していましたが、100%活用は予想外でした。自身の一年を振り返ってです。遠隔臨場ですが、2020年度の当社の工事では某会社の機材が届かず4回しか遠隔臨場を実施できませんでしたが、今年度22回実施しました。 その回数変化の要因ですが、遠隔臨場の利点は新型コロナウイルス感染防止のみしかないと思っていました。 しかし、遠隔臨場を行う回数が多くなれば多くなるほど移動時間縮減による働き方の変化や手待ち時間削減による生産性向上などで発注者受注者互いに 勤務時間の縮減や残業の無い勤務体制に変化しました。 私的には監督員の方々に昨年度から今年度で遠隔臨場が始まってからの勤務体制の変化について興味がありますので別の機会にでも。。。
1回目に行った遠隔臨場を常に持ち歩いているスマホでの実施。ここからが私の働き方改革の第一歩の始まりでした。 それまでの私はパワーポイントすらさわったことも無く、何か資料を作成するたびにPDFで行っていました。 PDFでの資料作成だと関係者へデータ移行がしずらいので、パワーポイントでの資料作成への行動を起こしました。 他の企業の方々はいろんな場面でパワーポイントを活用していたと思いますが、私にとっては自分改革と働き方改革が同時に訪れました。 一年たった今、まさかのCPDS講習会講師として3回目。ありえない自分にビックリし無我夢中に突っ走った一年はあっという間でした。
【中山】坂本さんの講習では、カーボン排出量の削減比較を行っていましたが、超過勤務時間の比較も見てみたいです。これは、すべての受注者の皆さんにもお願いしたいところですが、超勤時間比較とともに何が縮減の要因だったか分析してもらえれば、創意工夫の一項目として十分成り立ちます。
身近なスマホから始まったというのは、玉川組の舟見さんと同じ切り口だったということで、私もスマホから始めたことに非常に共感します。
坂本さんは確かに日高道部会の中で最も本年度成長した代理人でしょう。インフラDXでの活躍も期待します。
【坂本】まずは受注することが先かと思います。(笑)
【中山】ここで、川田テクノの成田氏からお知らせがあります。
【川田テクノ成田】話題のありました「WEBミーティングシステム」ですが、名称を「bp telecom」に改め…(15秒)
[経過時間 10:00]
【中山】I-CONSTRUCTIONの話題に移ります。
【中山】本田さん、講話のなかで設計高について協議が必要とおっしゃってましたが、協議内容について、具体的にどのようにお考えですか?
【高橋建設 本田(遠隔参加:洞爺湖町)】わかりました。(フリップはナカヤマの手元で示すのでカメラさんよろしく。 いつもどおり流れるように話す)
協議内容として、張芝等の張物施工時の規格値設定について説明します。 張芝の場合、厚さは30㎜程度なので規格値の±80㎜内には収まるのですが、80及び50%管理による制限を現場で設定している場合に規格値を越えてしまう場合があります。 なので、基準高の変更協議を行う必要があります。 変更した場合、張芝の厚さ分を考慮した3次元設計データで出来形測定する必要があります。 土工用の3次元設計データと別に作成しないといけないという問題はありますが、出来形測定時までに作成するので時間的には問題ないかと思います。 他の問題点としては、出来形測定時期までに芝が成長し、草刈りが必要になる可能性があります。
これは計画工程を参考に施工時期を調整すればいいですし、ダメなら草刈りを実施すれば解決できます。 利点としては、最後に計測できるため、計測待ちがなくなり施工性が向上します。 自分的には施工の待ち時間や工程の調整時間等が無くなることにより、ICTのかかげる生産性の向上につながると思います。 以上で説明を終わります。
▼fig-007「規格値変更の協議の必要性」
【中山】本田さんありがとうございました。社内基準値を見直す必要性についての提言であり各社に共通した非常に重要なことですね。
【中山】続いて、出口組の佐々木室長に伺いたいのですが、3つ質問します。 一つ目、3次元データの次年度工事に引き継ぎ効率化するという提案について懸念される事項など補足説明をお願いします。 二つ目の質問です。3次元パーツのテンプレートBANKの構想ですが、一刻も早く名称を決定して進めてほしいと思いますが、今後の同じような考えを持った企業との横のつながりも必要かと思います。佐々木さんお考えをお願いします。 そして三つ目の質問です。地中部分のモデル化については、積算計上されたものですか?ということ、以上の三点をお聞きします。お願いします。
【出口組 佐々木】はい、まず一つ目ですが、懸念される点ですね、これは前年度の三次元データを作成してから月日が経過していると思いますので、法面の崩落、明らかな地面の沈下等が見受けられた時は、起工時データの再取得の有無を含めて、監督員さんと協議が必要になってくると思います。なので、前年度のデータを鵜呑みには出来ないなという心配があります。 二つ目の質問ですが、テンプレートBANK、この名称は出来る限り早く社内等で協議し、決定したいと考えております。この点につきましては同じような考えで賛同して頂いている企業さんもいらっしゃれば、3次元パーツの作成、蓄積の効率も上がると思いますので、是非協力して進めていきたいと考えております。
▼fig-008「3次元パーツのテンプレートBANK構想」
三つ目ですが、積算計上について、これは積算計上されたものではございません。 弊社のインフラDX推進室の立ち上げにあたって、企業としての技術研鑽を図るため、専門業者に教えを請いながら独自に作成いたしました。そういうものです。以上です。
【中山】室長ありがとうございました。日高地方の建設業のインフラDXの牽引役として期待させてください。
ここで、初めての試みで「bptelecomの投票機能」を使ってみます。みなさんこのフリップをじっくり見てください。
▼fig-009「キャズム理論」
ハイテク製品、IT製品のマーケティング(売る側)の理論ではキャズム理論というものがあり、こういう時間の流れとともに客層があります。
2.5%はイノベーターと呼ばれ改革すると捉えがちですが、ここでいってるのは新しもの好きで飛びついて買ってくれるコスト意識の無い層です。その次に買う人は、アーリーアダプターで、ただ単に買うんじゃなく、それが自分の仕事をどのように変えて行くか考えに基づいて、使えるかどうか評価してゆく一番厳しいユーザです。売る側として大変ですが、使う側としては一番大切な人です。 イノベーターは放置しておいていいです。まーこういう人もいないと困りますが。 一般の商品では、イノベーター理論で合わせて16%まで製品が普及すれば、勝手に買ってくれるということです。ただし、IT製品は違ってキャズムという深い溝があり容易に飛び越すことが出来ません。飛び越すためには、ちょっとした工夫で、あなたの仕事はこれだけ楽になりますよ!みたいにしないと広がりません。
さて、このキャズム理論をについて、みなさんに質問しますので、チャット部分で該当のアルファベットに投票してください。
▼fig-010「このフリップの設問と回答選択肢をbp telecomのアンケート機能にて集計」
「自分は、遠隔臨場に関して、
A.イノベーター である。」
B.アーリーアダプター である。」
C.アーリーマジョリティ である。」
D.レイトマジョリティ である。」
E.ラガード である。」
指名して理由を聞いたりしないので安心してください。
【一同】(投票)
▼fig-011「bp telecomのアンケート」
【中山】なるほど、そのような結果ですか。遠隔に対してはキャズム前の方が多く、遠隔臨場もキャズム理論に当てはまるとするならば、日高道部会はほぼキャズム(深い溝)を克服したと言えます。
もうひとつアンケートしてみましょうか。「遠隔」を「インフラDX」に置き換えて、もう一度投票してください。
【一同】(投票)
【中山】同じような結果ですね。(質問が悪かった。「BIM/CIM」に対してと聞くべき。「インフラDX」では、「ICT施工」も含んでしまうため)
そこで、インフラDX室長の佐々木さんに伺いますが、出口組のインフラDX全般においてのポジションは、この理論のどこに位置しているのか自己評価していただけますか?また、インフラDX室とは何を目的にいつ出来たのかもお聞かせ願います。
【佐々木室長】インフラDXのICT施工のみに限定すれば、キャズムという深い溝は越えているのかなと思います。ただ、インフラDX全体となるとBIM/CIMも含んだ話ですよね!となると難しい自己評価になります。大手は別として我々クラスの地方の一般土木Bクラスに限定すれば、キャズム理論の深い溝前の普及段階で16%未満の市場と言えます。今回の講話でテンプレートBANK構想などご紹介しましたが、弊社の気持ちとしてはBクラスのアーリーアダプターでありたいと思ってます。一日も早く、キャズムという深い溝を超えてユーザが急増し、いろいろな技術が安価で特別なスキルを要しないようなレベルになればと思います。
インフラDXの ソフトウェア・ハードウェア等の導入については、様子を見て、その時まで待つか、他社に先んじて導入するかという戦略的判断が必要となります。弊社は、2021年11月にインフラDX推進室を立ち上げましたが、どこまで先行投資をするかは社内で討議中とだけ申し上げます。
【中山】”室長”ありがとうございました。今後の活躍に期待します。
ちなみに私は仕事はイノベータでありたいと思ってますが、私生活はアーリーマジョリティのレイトマジョリティに極めて近くにいると思ってます。
[経過時間 15:00]
【中山】舟見さん、恵庭からお越しいただきありがとうございます。 年維持作業員たちと作り上げたGoogleマイマップについて、どんな操作をして使っているか、10分程度お時間を差し上げますので、ゆっくりとご説明をお願いいたします。準備はよろしいですか? 実はですね、舟見さんのやっていらっしゃるGoogleマップ上での座標化の取組について、 現在我々も一生懸命やっていて、ちょうどこれは節婦市街付近のの照明、オーバーハング、 桝なんかを舟見さんにならってどんどん座標化を進めております。 このように、何とか追いつこうと思って頑張っておりますが、舟見さんの方から 高度なレベルのテクニックを教えて頂ければと思います。
▼fig-012「新冠町字節婦付近の附属物座標化」
【玉川組 舟見】先ほど行った講話は、先日開催された北海道開発技術研究発表会にて、千歳道路事務所の堀越さんが発表された「ICT・クラウドサービスを用いた道路維持 管理~道路付属物のID統一から創める年維持技術者の働き方改革の志向」とかなり重複している部分があります。 ただし、グーグルマップの具体的な説明は行ってませんので、この場で行わせていただく機会を感謝します。
私たち年維持業者としましては、高度な技術を一般作業員にということで、まずは高度な技術も全て3ステップで完了させてしまおうというテーマがあります。 そこで、皆さんが取得している点群データですとか、座標データを一般の皆さんが私用しているマップに反映できないか試行錯誤をした結果、Googleマップにたどり着きました。
まずはマイマップの作り方をご紹介いたします。 皆さんご存じの通り、Googleマップを開きます。こちらのメニュー画面からマイプレイスを選択し、その中にあるマイマップという項目があるのでそちらを開きます。
僕は結構作りこんでいますので、色々なマイマップが表示されておりますが、まずはこちらの地図を作成というボタンをクリックします。するとまだ何もない、白紙の地図が表示されます。
▼fig-013「Googleマイマップの活用」
これはURADO等で公開されているKMLファイルで、皆さんが作られた座標データとなりますが、まずはこちらをダウンロードします。 次に無地のマップにはインポートという欄がありますが、こちらのインポートをクリックして頂きますと、アップロード、Googleドライブ、フォトアルバムという項目がありまして、また、ドロップする欄がございますので、そちらに先ほど申し上げたKMLをドロップしていきます。
そうすると、自動的にファイルがアップロードされ、各々の座標がマップに取りこまれます。 このような簡単な手順で座標が表示されますので、現場にいる作業員は施工の際にキロポストを楽に確認することができます。
また、この地図にさらに情報を追加したい場合はレイヤーを追加して頂きまして、別のKMLをアップロードして頂いたり、CSVファイルやGoogleフォトといったものにも対応しておりますので、これらを追加することも可能です。 例えばこちらは12月17日に欠損部補修のために作りましたフォトアルバムとなりますが、 こちらを選択して頂くだけで、携帯に撮影された写真が座標を持っている場合、このような形でどこにどのような穴があるか、場所と写真を紐づけて確認できるようになっております。
このような欠損部補修の際には、常温で補修しましたら、その後加熱施工をしなければいけないのですが、そちらの情報共有の為に役立てております。
▼fig-014「距離標マップ」
▼fig-015「 舗装欠損箇所共有」
[経過時間 25:00]
【中山】ここまで使いこなせばグーグルの開発者も喜んでいるでしょうね!
【中山】次に、熊谷さんから見解を伺いたいと思います。
BIM/CIMデータで日高道の厚賀から新冠ICまで作ったとしたら、これは私の勝手な試算ですが、3億5千万円程掛かってしまうのです。
こんなコストを本当にかけるのかとなるのですが、そうするとどうしても安価な三次元データの活用を考えなくてはならないと思います。 その見解をお聞きしたいのです。また、維持段階で使用するGISプラットフォームについても熊谷様のご意見を伺いたいと思います。維持管理段階においては、LOD400段階は不可欠かなとは思いますが、属性の付与についてご教示願いたいと思います。よろしくお願いします。
【宮坂建設工業 熊谷: はい。ちょっとプレゼン画面の方を準備いたします。 皆さま、見えておりますでしょうか? フィリップボードをごらんください。
▼fig-016「BIM/CIMデータの基本的な作り方」
▼fig-017「BIM/CIMデータ TINサーフェスと3Dソリッドについて」
今、中山さんからお話がありましたとおり、BIM/CIMのデータを作っていくという所で 三次元データの作成という風になってくると思います。 これは先ほどの私の発表の方で紹介させて頂きました。 本来であればこのデータの部分が最初から全部そろっていれば、BIM/CIMを行うにしてもICTの施工を行うにしても、施工を行う我々の方ではすぐに使えるという風になります。 ですが、今中山さんからありましたように、これを一体だれが作成するのかという所がポイントです。作成すると一口に言っても、こういったデータ、詳細度400という言葉がありましたが、これは内部の鉄筋までを作りこむデータの事を指します。
▼fig-018「LODについて」
一応LODの一番上は500というレベルがありますが、これは現実と同じものとして評価されます。私もLOD500のデータは見た事がないです。そこにあるものが500だなと思っております。 ではこの400に行くといっても、先ほど私の方300ですね。 こちらで作っているのが皆さん殆どとなっております 。
▼fig-019「BIM/CIMデータの受け渡し」
これを維持管理という部分を絡めて話していきますと、最初の段階で測量・設計会社様の方で3次元のBIM/CIMデータを作成していて、これがどんどん受け渡されていく。 その過程で詳細にデータを追加していく。 例えば点群データを入れたりですね。 こうして雪だるまのように情報がどんどん増えていく、という事が理想の形ではあるのですが、いざデータというものをもっと細かく見ていくと、どのソフトで作るかといった段階で全然違ってきます。
▼fig-020「BIM/CIMデータの拡張子」
BIM/CIMのデータと一口に言っても、これがAのメーカーで作っているのか、Bのメーカーで作っているのか、スタートが全然違うよと。 言ってみればExcelで作っているのかWordで作っているのかくらいの違いがあります。 ですから、Excelで作ったデータを、ウチはExcelを持っていないからWordで開きますといっても難しいですよね?ほとんど開けないといっているようなものです。 これは3次元のデータも全く一緒ですね。 この作ったデータを先ほど受け渡ししなきゃいけないと言いましたが、中々それが難しい。 それらを受け渡すために共通フォーマットを作りましょうということでで作られたフォーマットがいくつかあります。 それはxmlというファイルでしたり、構造物ですとifcというデータもフォーマットとしてはあります。 ただ、このデータは一口に共通フォーマットといっても、万能ではないですね。 例えば、xmlというものでいくと、これは面のデータなので重機に入れてICT施工が可能です。ただ、面のデータに含まれている航空写真はxmlに変換してしまうと、航空写真がついてこない、ロストしてしまいます。 元々ある色々な構造物や航空写真や点群を一緒に受け渡ししたいという時には、最低3つに分けなければいけません。 Xmlというファイルで面を渡し、ifcというファイルで構造物を渡し、点群はlasというファイルで渡すといったように、様々な拡張子を分けて出さなければいけません。 この中で一番受け渡しがスムーズにいくのは、恐らく点群データのlasという部分になります。 一言で言いますと、これはテキストのデータで、x,y,zといった座標と色情報のRGB、赤緑青ですね。その文字が並んでいるだけですので、比較的色々なソフトに読み込んでも大体同じ結果になります。 ただ、こちらのxmlやifcについては作成したCADによって特徴が異なったり、日本語を使っているかどうかといった細かい部分もあります。 このように受け渡すために折角入れた情報を、航空写真が入っていない、属性情報を入れたのに書き出すとついてこないですとか、そういった課題がずっと存在しています。 その辺りはメーカーさんにどんどんきれいに受け渡しできるように頑張って頂きたいなという個人的な思いもありますが、今現状どうしているかといいますと、ビューワー形式のデータでお渡しするというような方法もあります。
ただ、これはビューワーですので、本当に見るだけですね。 先程のWordやExcelの例でいくと、PDFで渡しているようなものですね。 なのでこれは見るだけ、見ることができるけれど編集ができない。Excelの計算式が無くなっているといったイメージです。 こういったソフトの互換性なんかの話をしますと、バージョンが違うから開けないといったような問題が常に付きまとっております。 では、BIM/CIMのデータを一つに統一できないかといいますと、中々難しい所があります。 やりたいことに応じて色々なソフトを使うのがBIM/CIMの考え方の基本です。 CADを使う人もいれば、解析のソフトを使うといったように自由にできる分、一本化がちょっと難しいかなというような形になっております。 そのような中で、課題ばかり出てもなかなか前に進まないよということで、中山さんとお話していく中で、点群データをうまく活用できないかという所ですね。
▼fig-021「提案・結論:属性情報は目印モデルに付与する」
属性情報をうまく絡めていけないかなという所で、結論だけ先に出しているのですが、 属性情報を目印モデルというものに付与しては如何でしょうか、という、これは私の一つのアイデアの一つですが、具体的にどういう事かといいますと、まず点群データというものは、I-Conが広がってきている中で、必ず出てくるものかなと思います。 実際に施工の後の維持管理段階で、どんなデータが使いたいかといった所で玉川組さんからもあったように、完成形状が欲しい、工事の途中ではなく、供用している最後の段階のデータが欲しいと。 その時に細かい部分、構造物の本体だけではなく、例えばガードレールですとか、中央分離帯ですとか、配管、そういう細かいものも全部必要だよと。 全部必要な物をCADで作る。これは大変な事です。 あれば良いですが、中々大変なので、じゃあ出来たものを最後に計測してしまって、点群データとして表現しましょう。 そして元々あるBIM/CIMデータ、荒いざっくりした物に対してこの点群データを重ねることができます。Lasのデータを重ねることで、LOD400に近づけるというようなイメージですね。 これであれば、データ作成をCADで一つ一つ作るよりも、大幅に省力化できるのではないでしょうか。
▼fig-022「BIM/CIMデータと点群データの統合」
特にこういった点群データの方は、先ほど大陸建設様の方からもありましたとおり、どんどん計測のスピードも速くなってきていて、皆さんがお持ちのスマートフォンなんかでも計測がちょっとずつ取れている、といったような技術もありますので、より素早く、簡単に取れるといったような将来がかなり近いのではないかなと思います。 ということで、LOD400をいかにして安価に素早く作るかといった所についてはこういった点群データを合成しましょう。
▼fig-023「目印モデルへの属性情報の付与」
次に、ここに属性の情報を入れるという所なのですが、一つの例として、属性情報というものは、例えばこちらの橋脚の部分をクリックすると、そこに橋脚の情報が入っている、というものがいつものパターンとなっていると思います。 では、今回この橋脚のモデルが無いという場合、これを点群で取りましたという場合は、 点群は点の集まりなので、どの点をクリック情報があるのか・・これはクリックができないですね? ここで、パソコン上のシミュレーション空間であることを活かし、例えば絵の中に目印となる架空のモデルを作ってみてはいかがかと・・。 このモデルは非常にシンプルですね。ただピンを刺しただけ。 このピンをクリックすると、そこに例えばP5の写真の情報が入っていたり、出来形の帳票のデータが入っていたりする、といったように3Dのモデル上でデータを挿入したとしても簡単に表示、非表示ができますので、すぐに消したりすることもできます。 こういったやり方が一番安価で素早くできるのではないかなと思います。 勿論、3次元のモデルというのは実際に出来上がった後も、形は一刻一刻と変わっているような状態だと思います。それをリアルタイムに計測するといったような考え方もありますが、まだ現実的ではないかなと思います。 今後、維持管理の段階でどういう風にデータを管理していくか、BIM/CIMのデータもあるので活用していくか、という部分は当然検証だとか、良い方法というものを模索していかなければならないかなと思いますけれども、今私たちが施工段階で最後に出来形として取っているデータは間違いなく現実に近いデータとなっていると思いますので、それをうまく合成してあげて、そこに目印となるモデルを入れてあげて、今までの紙図面やデータでバラバラになっているものを一つにまとめることで、維持管理の流れの一つの形というものを決めていけるのではないかという風に私は思います。
【中山】これも、BIM/CIMのコアな部分なので熊谷さんにお聞きします。令和5年度からのBIM/CIMの標準化に対し、施工会社にとって大きな課題になると思われるものは何なんでしょうか?
【熊谷】BIM/CIMのオペレーター育成が重要だと思います。今後BIM/CIMデータは設計会社が作成しても、施工会社でそれを使える人員が必要です。 例えば、3次元データから2次元図面を作成したり、数量算出を行う際など、2次元CADを使うように、3Dデータを使えるような人材を、現場単位で確保する必要があると考えます。
【中山】櫻庭さんにはGW明けにMMSに関して3時間程度講話をお願いしようと思ってますので、大事な点のみお聞きします。
維持管理部門での利活用の将来は?
[経過時間 35:00]
【大陸建設 櫻庭(遠隔参加:釧路市)】(あいさつは無し)AIと連携して、MMSで取得した画像からの舗装のポットホールを自動検出する技術の開発も進んでおります。
▼fig-024「AIと連係して、MMSで取得した画像から舗装のポットホールを自動検出する技術」
【中山】維持管理で活用できる3次元モデルなりデータを苫小牧道路事務所管内すべて完備使用とした場合、コスト的に考えてもMMSの点群データを活用するのが合理的と思いますが、大陸さんで、切崩オーバーレイ時に取得した過去データは残ってないでしょうか?
【櫻庭】このような日が来ることを想定して、舗装工事や計測車両が空いているときに走行したデータは保存してあります。
(フリップのグーグルアースを中山の手元で示しますので、カメラさんおねがいします。)
これらの黄色いラインの区間はデータがあります。苫小牧道路事務所管内の276号以外は点群データを所有してます。
▼fig-025
【中山】ほぼ苫小牧道路事務所管内あるんですね。
【司会佐藤】すみません。ひょっとして、弊社が維持除雪している一般国道235号新冠町と新ひだか町の区間もあるんですか?
【櫻庭】たぶんありますよ。
【舟見】千歳道路事務所管内の36号はデータありますか?
【櫻庭】たぶんありますよ。
【中山】お二人とも年維持工事への点群データの利活用を考えているのかと思います。今回の講習会を機会に面識が出来たと言うことで交流を深めていただきたいと思います。データの提供料や処理料金は直接交渉ください!(笑)
【中山】さて、ディスカッションのまとめに入りたいと思います。結局、日高道のインフラDXの目論見はどうなの?と言うことになるでしょう。日高道のインフラDXは、「日高道のインフラDXマネジメント会議」の積み重ねにより進めて参ります。実は本日の講習会自体もマネジメント会議の第二回に位置づけています。方針については、我々官側から一方的に押しつけるようなことではなく、安全協議会と協働して進めてゆくつもりですから、今回講師の皆さんから提案いただいたこと提起いただいたことを取り入れるなり、今後の検討事項としてゆくことになります。今後もインフラDXに関わる創意工夫について、随時募集し講話戴く事でインフラDXを推進してゆくことが目論見の大きなものです。
持続可能な取り組みとするために、以下の大きな3ポイントを目論見の方針とします。
▼fig-026「実行方針」以下のスライドは”目論見書”より一部抜粋
fig-027「多角的にコラボして行う!」
次に、具体的な行動について、決定していること、既に実施していることを説明します。
(1)佐々木室長から提案のあった、ICT施工データの次年度の工事への引き継ぎ有効活用については、2021年12月に掲示板で周知したとおり、当年度データの収集がほぼ完了しております。
▼fig-028「収集データの一部を活用し、仮称新冠IC付近を3Dモデル化したもの」
▼fig-029「令和4年度からは、起工時のドローン測量は設計計上されない。」
次年度からはこれらの出来形データを、新規工事に貸与しますので有効活用を行ってください。
【重要】この運用は、すべての新規発注工事に適応します。ですから、起工時のドローン測量については、十分協議のうえ実施してください。
▼fig-030「3次元データ起工測量にかかわる実施フロー(点群データの活用フロー)」
(2)高橋建設の本田さんの提起について
いずれかの工事で、張芝をおこなったあとでの盛土算出量の比較を条件があう工事で行いどの程度の差異があるか検証し講話してもらいたいと思います。
(3)同じく佐々木さんのテンプレート銀行の構想については、同じような考えを持った企業は必ずいますから、それらを掘り起こしてLOD450レベルを目指してほしいと考えます。
(4)MMSなどで点群データを取得不可能な地下部分の情報管路などのCIM化については強く推奨します。設計計上してゆくか、創意工夫として取り組んでゆくかについては、今後協議を深めてゆく必要があります。
(5)舟見さん、熊谷さん、櫻庭さんにの講話については、非常に高度な知識が必要となることでしょうし、GISプラットホームに具体性がみえてくれば更に着目される講話でした。今後も我々のマネジメント会議に日高道の工事を受注しているしていないは全く関係なく何度かゲストとして参加をおねがいすることもあろうかと思います。
▼fig-031「スケジュール」
なお、次回第三回マネジメント会議の予告です。調査計画段階の日高自動車道のインフラDX現状と今後の展望について、当事務所の黒川上席に話してもらおうと思ってます。
(時間が押していれば、オンラインの聴講者からの質問はCUT!)
【中山:さて、時間も無いですが、オンラインの聴講者からの質問、数件お答えしましょうか? では、チャットで発言のあった○○さんの○○は?
○○さんお答え願いますか?
【中山:講師のみなさま、全くの無償でありながら協力していただき、講話資料の作成も含めましてまことにありがとうございました。司会にお返しします
【司会佐藤】それではパネルディスカッションをここで終わらせていただきます。
最後になりましたが、開催に寄せてということで、当初最初に予定しておりました福原所長のインフラDX先導事務所としての所信ということで、閉会の挨拶も含めましてよろしくお願いいたします。
【苫小牧道路事務所 福原所長(遠隔参加:所長室から)】本日セミナー参加の皆様、長時間にわたり本当にお疲れ様でございました。 また、日頃から日高道の事業促進にご尽力いただきましてありがとうございます。 今年度もここまで大きな事故等もなく、年度末を迎えられる事を深く感謝する所存であります。 これまで各受注者の皆様には積極的にICTに取り組んでいただいたところですけれども、個別の取り組みであって、それらをすべて取りまとめてやっていくということを今まで出来ていなかったなぁというところが反省点かと思っております。
お話がありましたように、苫小牧道路事務所は昨年度(2021年8月3日)、北海道におけるインフラDX、I-Constructionを進めるための先導的事務所、全道で14箇所の内の一つに指定されております。
それをきっかけとして、今後すべてのデータを活用しながら、設計段階から施工段階、それから維持管理段階において、コストの縮減、それは税金を預かっている私共公務員の立場もそうですし、皆様方は会社のためにコスト縮減ということもあるかと思います。
また、作業の効率化、これも早く終わらせることが出来れば、利益につながることもありますし、皆様の休暇といったところにも跳ね返ってくることだと思います。 後は工事精度の向上ですとか、災害の予防保全などにつなげていきたいという風に思っております。今日は先進的な取り組みについて講演頂いた日高道部会の構成員の皆様、その他にも玉川組様から舟見係長、成田工業の妻沼(つまぬま)工事次長、高橋建設の本田さん、大陸建設の櫻庭常務、それから構成員傘下から宮坂建設の熊谷課長、お忙しい所皆様本当にありがとうございました。 今日のセミナーに参加された皆様が中心となって、日胆地区だけではなく、持ち帰って北海道全体のI-Conの取り組みを牽引して頂けたらと期待しております。
本日は大変ありがとうございました。私からは以上です。
▼fig-032「苫小牧道路事務所 福原所長 閉会挨拶」
【司会佐藤】パネルディスカッションは非常に有意義でございました。
その他のチャットでの質問は、WEBに公開したこのパネルディスカッションの発言録に追加してお答えすることにして終えたいと思います
▼fig-033「講習会後の談笑の様子」
初対面の舟見さんと熊谷さんでしたが、”座標談義”には国境はありません。
グーグルのコンテンツ(Googleマップ)に3次元モデルをどのように描写するかで盛り上がってました。
END
チャットでの質問への回答
Q1.インフラDX、i-conとかBIM/CIMとかいろいろな取り組みというか施策があるようですが、これらの言葉の意味や関連性が良くわかりませんので解説していただけませんか?
A1.回答準備中です。少々お待ちください。
Q2.出口組さんのインフラDX室を立ち上げたとあり刺激をうけたところです。i-conやBIM/CIMへの取り組みを外注せず内製で行うとすると、投資も必要ですし、それなりの能力を持った人材も必要です。参考になる事例とか紹介してもらえないでしょうか?
A2.難しい質問です。内製が良いと勧めるつもりはありません。各企業の根本的な理念であったり、経営方針に係わることであり軽はずみに回答できることでは無いことをご理解ください。
少々、考える時間をください。
関連情報 過去のパネルディスカッションの発言録
2021/01/29 「安定的な除雪従事者確保に向けたパネルディスカッション」
2016/01/29 いまさら聞けないCIM_パネルディスカッション
2014/08/07 「身近になったGISとCIM」 パネルディスカッション
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