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簡単に飛びついてはいけないARの活用

講習会プログラム

ID:20230130-781399-02

目次

簡単に飛びついてはいけないARの活用

講師:幌村建設株式会社 工事部1課 工事課長 三角 亮 (みかど りょう)

以下の資料は、技術研鑽に役立つことを願い、講師のご厚意によりご提供いただいたものです。


▼PowerPoint PAGE-01

「簡単に飛びついてはいけないARの活用」というテーマで事例を発表させて頂きます。
発表者の 幌村建設株式会社 三角 亮 と申します。
どうぞよろしくお願いします。◆

▼PowerPoint PAGE-02

目次
「建設現場でのAR活用」
※(目次内容)
§1 ARとは
§2 ARの活用シーン
§3 制作コストを意識し、B/Cを成り立たせる
§4 まとめ ◆

▼PowerPoint PAGE-03

§1 ARとは
そもそもARとは、どのような技術なのか言葉の意味を調べてみたところ
ARとは「Augmented Reality(アグメンティッド・リアリティ)」の略で ★
現実を仮想的に拡張する技術(拡張現実)のことです。
今回BIM/CIM活用を進めるにあたり、まずは完成イメージをARで活用しました。 ◆

▼PowerPoint PAGE-04

§2 ARの活用シーン
まず最初に地域住民へ施工前の工事説明を行う際にARを活用してみました。
現地で完成イメージを表現することで、本工事によってこの地域の風景が
どう変わるのかイメージができ、工事内容をよりご理解していただけました。 ◆

▼PowerPoint PAGE-05

次に現地施工イメージに活用しました。

国道を走行する通行車両と仮設防護柵を設置したARを見ることで、施工箇所の
スペースについて通行車両との関係性を見れる為、施工手順などを検討する
イメージに活用することができました。 ◆

▼PowerPoint PAGE-06

また、信号機が橋台床掘りに支障となった為、ARを活用し、施工前に現地を
写して橋台床掘り箇所との関係性も確認することができ、発注者との協議資料
としても活用することができました。 ◆

▼PowerPoint PAGE-07

現場視察時にもARを活用しました。
その時に撮影した動画がありますのでご覧ください。 ★
(動画中)
ジャイカ研修視察の時にタブレットを手にした研修生はARに
興味津々でした。
実際、なかなかタブレットを返してくれませんでした。 ◆

▼PowerPoint PAGE-08

こちらがその時に研修生が撮影したスクリーンショットです。◆

▼PowerPoint PAGE-09

また、北海道開発局 事業振興部 坂場部長と室蘭開発建設部 篠宮部長の視察時や ◆

▼PowerPoint PAGE-10

静内高等学校生のインターンや弊社建設ディレクター候補生視察の時も
新冠ICのARイメージを見て頂きました。
ただ、個人的に弊社に興味をもった関係者へはARを見せることができましたが、
発注者から現場視察の依頼対応でARを見せるのでは無く、進んで現場視察
などを行うことを自社企画し、色々な方達がもっと建設業へ興味が持てるように
対応することも必要であると痛感しました。◆

▼PowerPoint PAGE-11

今回ARに使用した3Dデータは、業務成果内にある3Dデータを
発注者から提供して頂き、新冠IC全体をAR化することを
発注者と協議しました。
隣接工区からもボックスカルバートの3Dデータを提供して頂き、
完成イメージに近いARデータの制作に取り組めました。 ◆

▼PowerPoint PAGE-12

ARデータの修正依頼について、現時点では弊社で3Dデータの
統合や細かい箇所の修正を行うことができず、データの修正などは
外部の専門業者に委託しているのが現状です。

修正してほしい箇所を3Dイメージに記入、データを送付し、
データ修正のやり取りを行いました。

また、橋梁上部のデータや隣接工区から提供して頂いた
ボックスカルバートを追加した結果、ARデータを制作するのに多くの
時間を費やしました。 ◆

▼PowerPoint PAGE-13

ARデータの完成に向けて、データの修正や追加など苦労しましたが、
出来上がりイメージはかなり現実に近づいたと思います。 ◆

▼PowerPoint PAGE-14

§3 制作コストを意識し、B/Cを成り立たせる
当初は橋台のみAR化することを考えていましたが工事が進むにつれ
他のデータを統合すると、どうしてもより高い完成度のARを求めて
しまうのが現状でした。 ★
実際に同じ位置で撮影すると信じられないかもしれませんが当初と
現在ではARイメージの完成度が全然違います。 ◆

▼PowerPoint PAGE-15

ここでARを活用して感じたメリットを説明します。
・見せたい物のイメージを見せることができます。
・工事の施工に支障となる箇所がイメージできます。
・タブレットやスマホがあれば誰でも表示させることができます。
・発注者との協議資料としても使用できます。 ★
【重要なポイント】
AR投影イメージを見える化させることで現場視察時
などでの活用は特に有効だと思います ◆

▼PowerPoint PAGE-16

次にデメリットですが
・表示させるイメージを先に決めておかないとAR制作費や制作時間が過大に掛かります。
・タブレットやスマホ毎にAR表示させるアプリの導入が必要です。
・工事工程の短縮や構造物の品質は向上しません。
・位置情報を必ず読み取らなければ正確な位置で表示できません。 ★
【重要なポイント】
使用用途を定めずAR活用を行うと制作費と制作時間に見合う対価が得られない
と思います ◆

▼PowerPoint PAGE-17

新冠川橋A1工事にてARを活用してみましたが、先に述べたように
ARの活用には様々なメリット・デメリットが存在しました。
ここで今回のテーマである「制作コストを意識し、B/Cを成り立たせる」
に基づき費用便益比(B/C)を独自に算出してみました。
ARの活用によってもたらされる便益を活用してきた4項目とし、
その価値を業務が減少した分と考えました。
業務は手間と考え、金額は、技術員の労務単価1日約3万円とします。
総費用は、AR用データ制作費です。
こちらから算出された費用便益比(B/C)は0.86と相当低くい値でした。
弊社として初めてARを活用したことも有り、その活用方法が明確化されて
おらず、ARを活用して行った地域住民への説明回数も少なかったり
したためと思います。◆

▼PowerPoint PAGE-18

§4 まとめ

・現場を知らない人でもイメージが伝わる良いツールです。
・見学会などで配布する資料(図面など)が必要がなくなります。
・発注者との協議資料としても使用できます。

・現場の工程管理や品質管理の向上はしません。
・ARデータをどこまで制作するか、事前にしっかりと決めておく必要があります。
 ARを容易に取り組むと多くの時間と費用を費やしてしまう可能性があります。
 精度を追い求めせずARを作成することをお勧めします。

以上を持ちまして、私の発表を終わらせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。◆END

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